ICONfrontは、ICUのアクティビストをより多くの人に知ってもらいたいという思いから、アクティビストへのインタビューをスタートさせました。
これから皆さんにそのインタビュー記事をお届けしていきます!
今回はその第一弾。インタビューをしたのはVoice Up Japan ICU 支部代表を務める ID 22の山下チサトさんです。
他大学の授業への登壇や、講演会への参加、昨年2019年には「就活セクハラ」の被害を訴える記者会見を行うなどフェミニストとしての活動の幅を広げています。
精力的に活動を続ける彼女に「活動を始めたきっかけは?」「社会に訴えたいこと」「将来の目標」などたくさんお話を聞きました。
Official Instagram @proudfeminist_chisato
2019年12月東京都渋谷区のハチ公前で、記者会見後に「就活セクハラ」防止策を政府に求めてアピール活動を行う様子。(福島みずほ、もとむら伸子、吉良よし子議員(五十音順)と共に)
Q1. 山下チサトさんはどのような活動をされていますか?
日本における、主に女性差別に関するアドボカシー活動を行なっています。
具体的には記者会見や登壇など、公的な場面で行うアドボカシーや、キャンパスにおいて性的同意を広めたり、ジェンダー問題を身近に感じてもらえるようなイベントなどを開催しています。
Q2. 活動を始めようと思ったきっかけは何ですか?
ICUで、一年生の秋学期に、ジェンダーセクシュアリティ研究を専攻したことが一番大きかったのかなと思います。その授業を通してジェンダーについてアカデミックに考え始めた時、Voice Up Japan 代表の山本和奈が、2018年冬に発売された週刊雑誌『SPA!』の「ヤレる女子大学生ランキング」という女性蔑視、ミソジニーな記事に対して署名活動を行い、扶桑社に二度に渡って交渉した、という報道をテレビで観ました。
実際にアクションをとり世の中の他の誰かの行動や考え方を変えていこうとする山本和奈に感銘を受け、彼女のSNSを追うようになりました。SNSをチェックする中で当時彼女が立ち上げたVoice Up Japanがメンバー募集をしていることを知り、ぜひ一緒に活動をしたいと思ったことから応募をし、活動を始めました。
Q3. 始めた時はどんな気持ちでしたか?
入ってから割とすぐ、大妻女子大学での登壇や法務省での性暴力の刑法改正の記者会見によくわからずに連れて行ってもらったので、代表の知識の多さや、自信、勇敢な佇まい、周りの人を惹きつける力に圧倒されているばかりでした。
フェミニズムは、日本にあまり広まっていない分、少しでも発信しようとすれば、大きな批判に立ち向かわなければいけませんし、かなりの勇気が要ります。しかし、その分、メディアの方が大々的に取り上げようとしてくれたり、私たちの言葉を直接取り上げたい、聞きたい、と言ってくださる方がまた大勢いらっしゃるのだな、と同時に感じました。
Q4. どんな時にやりがいを感じますか?
私自身がSNSやインタビューを通じて自分の考えを発信した時、フェミニズムや女性差別、ジェンダーについてあまり考えたことのない友達から、「今までこんな風に考えたことなかった。」「こういう風に声をあげている姿を観て、とても勇気をもらいました」と言われる時は、自分が当たり前だと感じることが誰かの新しい発見に繋がった、声をあげられない人を少しでも勇気付けられたという喜びを感じます。
Q5. 活動を始めたことでわかったこと、気がついたことはありますか?
私も学問的に女性差別を研究するまで、自分が差別の対象になっていることなんて人
種差別以外ないんじゃないかと、無意識に無条件に信じ込んでいました。
自分が受けている差別を知り、向き合うことで自分の中の差別意識も日々認識するようになりましたし、他の人が苦しんでいても、根性論や自己責任論を振りかざして抑圧するような考え方は、フェミニズムを学ぶ前に比べて、かなり減ったと思います。
また、声をあげたら、それを押さえ込もうとする人もいるけど、聞きたいからもっと教えて、と言ってきてくれる人もいるし、私の意見や行動に賛同してくださる方はネット上などで私の代わりに闘ってくれていたりするので、味方が想像以上に多かったことも実感できました。
Q6. 社会に訴えたいこと、伝えたいことはなんですか? またぜひ学生に知ってほしいことがありましたら教えてください!
誰にでも差別において、被害者的な側面も加害者的な側面もあると思います。誰でも、恵まれている面とそうじゃない面がある。間違いを犯すことは誰にでもあるし、私だって過去に周りの人を傷つけてしまったことは沢山あるし、これからもあると思う。
でも女性差別と真剣に向き合うことを決意してから、自分を含めた誰もが生きやすい社会を願うようになりました。家父長制やミソジニーで苦しんでいるのは女性だけじゃない。フェミニズムを学ばなければ、ここまで多様なセクシュアリティや、ジェンダーロールの在り方について考えることもなかったと思います。
自分が政治的にどんな立場に立たされているのか考えるようになり、声をあげるようになっただけで、自分がどれくらい被害を受けてきたのかを認識し、また、自分がどれだけ恵まれているかも実感しました。これって私にとっては、すごく自分が自由になっていく瞬間でもあります。フェミニズムは、「男性ができることで、女性のあなたにできないことはないんだよ!」とか、「女性だって、選択肢を自由に選んでいいし、新しい選択肢を作って行ってもいいんだよ〜」とか、今まで誰も教えてくれなかったことを教えてくれた。だから、社会にこんなに縛られて生きていく必要なくない?と、感じるように本当になりました。
うーん、ICU生に知ってほしいことは何だろう...
若い世代が声をあげた時は、こちらにとっては大したことをしていなくても、多くの大人の想像を超えることが多いようで。(笑) どこに行っても「若い世代がこうして声をあげている姿は、とても勇気をもらいます。私たちも背筋が伸びる気分です、一緒に頑張りましょう」みたいなことを言ってくださる大人の方に何度も出会いました。
若い世代が社会問題に興味を持って関わっていくこと、また、私たちだからこそ生むことのできる影響力も相当大きいのだと実感しました。だから、自分が社会に対して不満に思っていることは、素直に発信してみると、想像より大きな反響を得られると私は思うので、何か迷っていることがあればぜひチャレンジしてみてほしいです!
Q7. より多くのICUのアクティビストを知ってもらうべく活動するICONfrontですが、山下チサトさんが考える「アクティビスト」とは?
Voice Upの活動を始め、アクティビズムの形は人それぞれ違うことを改めて感じます。私が思うアクティビストは、問題を抱え困っている人の絶対的な味方、また問題を抱える本人たちができないことに対して手助けをしたり、その人に代わってその問題の深刻さや思いを社会に発信する人だと思います。
私自身もフェミニスト、アクティビストとして活動を続けていきます。直近の目標は日本社会に未だ残るフェミニズムの誤解を解くことです。フェミニストとしてフェミニズムの正しい定義を広めていきたいと思います。
また将来的な目標は、アジア人女性が自分自身に自信を持つことができる世の中を実現させることです。性的搾取の対象になる可能性が高いアジア人女性への活動を行い、ひいては世の中の女性がお金のために服を脱がなくていいようエンパワーメントを一生かけて行っていきたいと考えています。
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